テレビドラマを観るように絵を観るということ。

レンピッカ展について。
あれだけ所狭しと掲示されたキャプションを隅から隅まで読んでいる観客を目の当たりにするのは初めてだったかもしれない。
僕は基本キャプションはだるいのでほとんど読まない。
ましてや作家の人生を年表にしたものなんて一瞥もくれてやらない。というか作家自身に興味はない。作品に興味がある。
みんなそういうものだと思っていたんだけどレンピッカ展に訪れていたお客さんはそうではないみたい。
みんな食い入るようにキャプションや年表を観て読んでた。
何故か。
みんな同性愛者であり、女性活動家であり、画家である激動の人生を歩んだレンピッカという人間の人生をドラマのようにして観ているからだ。
あの場所で重要なのは作品よりもむしろ彼女の人生の浮き沈みを事細かに記述したキャプションであり、彼女の人生の栄光と衰退を時系列でなぞるよう
な展示構成の方なのだ。
だれも彼女の作品を観ていない。
僕はこのレンピッカという人物について何も知らないに等しい。
もしかすると生前からそういった観方をよしとしていた人なのかも知れないし、時代と寝た的な作家だったのかも知れない。
だけどそうではないとしたら、作家自身をキャラ化させないと作品が観れないというのは悲しいことだなーと思った。