東京藝術大学美術館で「デジタル・オイルペインティング」展なるものが開催されているらしい。
デジタル技術で油彩が持つ立体感や色彩、筆痕などをモニター上に再現しようというもののようだが
僕にはそんなソフトの必要性がまったく分からない。
デジタルの技術というのは物質に作家の身体性が宿るのを回避するために用いられるべきなのではないか。
画面に身体性を持たせたいのならば油彩で描けばいい話なんじゃないだろうか。
デジタルカメラが出た時もそうで、粒子を載せてみたり手焼きしたように見せかけるために焼きこみ覆い焼きをしてみたり。
フィルムで撮ったように見せたいならフィルムで撮ればいいじゃないか。
デジタルの技術で油彩画を描く人の裾野が広がるということを狙っているのかもしれないけど
そんなことに何の意味があるのか。
デジタル独自の可能性を捨ててバカの一つ覚えのように原点回帰を謳っているのなら本当に不毛な研究だと思う。